明治から昭和20年までの間、陶芸界から僅か五名しか任命されなかった帝室技芸員の一人、初代宮川香山(真葛香山)の極初期に製作された染錦花瓶を出品致します。初代宮川香山と言えば、誰しもが思い出すのは恐らく蟹や鳩などが飛び出してくるかのように高浮彫された鬼面人を驚かす作品でしょう。或いは、様々な技法を凝らした華麗な釉下彩の作品。或いは、染付の階調を存分に活かした悠遠な山水図などの後期作品でしょうか。さて、本作で特筆すべきは、ごく普通の染錦作品であるということです。ある意味、宮川香山も伊万里焼のような染錦作品を作っていたのかという驚きがあります。それでも、やはり香山らしく、黒地に厚みのある和絵具で葉や枝を描きながら、花弁はマット字の厚みのない絵具(おそらく洋絵具)で描き分けています。意匠は有田の初代晩香のそれに似ていますが、晩香は赤絵屋ですので、染付けは使いません。また、洋絵具も使っていないと思います。晩香の作品が中国のfamille vertやfamille noir系の作風に近いのに対して、本作は桜の芽がすっと伸びているところを描いた部分など詩情を感じさせるものがあります。寸法は、高さ22cmです。ワレ、カケ、ヒビなどの瑕疵はありません。とても良い保存状態です。製作年代は、明治23年から28年の間です。最後の写真は東京国立博物館に収蔵されている明治26年のシカゴ万博に出品された香山作品の銘です。本作と同様の銘であることをご確認頂けると思います。(出典:ColBase(https://colbase.nich.go.jp/))注:最近、私の写真と説明文をそのまま盗用して、格安で販売するとしている詐欺サイトがいくつかあるようです。呉々も騙されないよう、ご注意下さい。
商品の情報
カテゴリー | その他 > アンティーク/コレクション > 工芸品 |
商品の状態 | 目立った傷や汚れなし |